ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

More on Power for Living & DeMoss Foundation

 その後たいして新しい情報は入っていないのだけれど、検索しているうちに、アメリカや日本だけでなく、これまでにドイツやタイでも同財団による同様のキャンペーンが行なわれていたことがわかった。私が見つけられなかっただけで、他の国々でも行なわれているかもしれない。

 ドイツでは宗教的または政治的な広告というのは法律で禁じられているため、広告はすぐに取りやめになったそうだ。一方タイでは、日本同様、彼らの独得な手法が人々の疑惑を生み、タイの福音的クリスチャンの団体(The Evangelical Fellowship of Thailand: EFT) も『パワー・フォー・リビング』について調べたらしい。その結果、この無料配布の本は未信者向けの福音的な書物であることには間違いなく、期間限定のキャンペーンでもあるので委員会としては厳しい措置は取らないという声明が出された。しかし、EFTは「今後は二度とこのようなことがよその国でも繰り返されるべきではない」という警告も出した。(こちら参照)このキャンペーンが「too blunt and might affect religious relations among people in the country」つまり、単刀直入すぎて、波風が立つかもしれないから、ということらしい(religious relations among people が何を意味するのか、よくわからないけれど)。 本が福音的であると認めたうえでこのような警告を出すとは、福音が未信者に届けられることよりも、波風を立てないことの方が大事だというのだろうか。

 タイでの反応といい、日本での反応といい、何がそんなに人々の不安をかき立てたかといえば、アーサー・デモス財団が「正体不明」の印象を与え、Power for Livingのサイトもほとんど情報量がないし、彼らの広告の仕方も極端で、通常のキリスト教の伝道方法とはまったく違っていたからだと思う。せめてみんなが安心できるような、著名な教会や団体の肩書きがどこかにあれば、もっと素直に受け入れられたのだろう。クリスチャン人口が0.5%のタイでは、40万件もの本のリクエストがあったそうで、それでタイの教会が喜んだのかと言えばそうではなく、逆にとまどい、難色を示した。なぜか。福音的な本だと分かったのなら、外国の財団がお金を出して福音伝道のためにこれだけ一肌脱いでくれたのだから、喜んでもよさそうなものではないのか? 

 イエス様がこの世で福音の働きを始められた時のことを思った。イエス様も一切の肩書きももたず、ただ神の言葉だけを語った。民衆は彼のメッセージに大いに反応したけれど、当時の宗教家たちはそれを好まなかった。逆に、イエスのことを疎んじ、挙げ句の果てに罪人に仕立て上げ、殺した。

 Power for Livingの件は、クリスチャンに一石を投じている気もする。私たちが本当に信頼するものは何なのか、と。人間が好む評判や肩書きなのか、それともただ神の言葉なのか。自分たちにとって慣れている心地良い方法、理解できる方法なら受け入れ、そうでないなら拒絶するのか。(もちろんアーサー・デモス財団はそんなことを考えているわけでなく、純粋に福音を宣べ伝えたくてやっているのだろうが。)アーサー・デモス財団のやり方は、タイの福音的教会のコンフォートゾーンを越えていて、彼らには受け入れられなかったようだが、果たして日本の教会はどう反応するのだろう。

 CMやウェブサイトを見ただけでは、彼らが伝えているものが本当に聖書の言葉なのかはわからないので、クリスチャンが不審に思ったり警戒するのは当然だし、健全だとも思う。私も疑い深いから、このCMを見たらきっと真っ先に「ちょっと待った、あなたたち、誰?」と言うだろう。そうでなくてもカルトや異端が蔓延しているのだから、安全な団体ならもっとわかりやすく安全であることをアピールしてよ、と思ってしまう。でも、こういう時代だからこそ、肩書きや看板に惑わされることなく、私たちが本質を見極めて判断できるようになることが必要なのかもしれない。

 もし今イエス様がこの地上にやって来られ、2000年前のように働きを始められたとしたら、恐らく彼も、何の肩書きも推薦状ももたず、ただ真理を語り、愛を示すだけだと思う。その時私たちには、それがイエス様だと気づくことができるだろうか。

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