ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

「息子のかんしゃく」

 今、「いのちのことば」という小冊子に、「ミルトスの木かげで」というタイトルの連載をしています。その第三回目のものがちょうど昨日のブログ記事ともちょっと関連があるので、以下に転載します。昨日の話は悔しくて大泣きしたケースですが、今回のは正真正銘(?)のかんしゃくの話。

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 2ヶ月ほど前のことだが、ケン(10歳)がかんしゃくを起こした。
 そのとき私は、地下室で洗濯物を選り分けていた。白いもの、タオル、ジーンズ… そこにケンがやってきて、ジョーイの家に行ってもいいかと尋ねた。ジョーイの家はちょっと遠いので、私が車で送ってやらないといけない。そこで私は、「今は忙しいからだめ。また今度ね」と言った。
 洗濯機のスイッチを入れてから階上に戻ると、ケンがリビングのソファに突っ伏して、大声でわめくようにして泣いていた。大袈裟なと思いつつ、「どうしたの?」優しく尋ねても、「ウオー」としか言わない。ケンに触れようとすると、私の手を払いのける。こういうことは滅多にない子なので、戸惑いつつ、「大声出すなら自分の部屋に行ってね」と言うと、ドスドスと足音をたてて二階に上がっていった。そして乱暴にドアを閉める音。彼のベッドはイケアで買ったメタル製のロフトベッドなのだが、どうやらそのベッドを揺さぶっているとおぼしき音も聞こえてきた。あまりの激しさに心配になり、部屋に行って話しかけてみたが、まったく取りつく島もない。ついに反抗期到来か?
 「何か食べさせたら落ち着くかもしれない」。実はこの日のお昼、私はケンの苦手なクリームソースのスパゲティを作ってしまったので、彼はあまり食べなかったのだ。お腹がすいて、機嫌が悪くなったのかもしれない。きっとそうだ! そこで急いでレトルトのカレーを用意し、息子の部屋に持っていった。彼は見向きもしなかったが、とりあえず置いてきた。5分ほどすると、再びバタンというドアの音。覗きに行くと、一口だけ食べたカレーの器が、廊下の真ん中にチョコンと置いてあった。まぁ、強情な。でも器を投げなかっただけマシか。これを投げられていたら悲惨だ。
 その後、私は用事があり、荒れている息子を置いて出かけるのは心配だったが、上の娘に託して祈りつつ外出した。
 1時間ほどして帰宅すると、娘が、「ケンは友達が遊びに来て、公園に行ったよ」と言う。「あら、機嫌はどうだった?」「ふつうだった」
 その後さらに1時間ほどすると、ケンは「ハロー!」と、何事もなかったかのようにニコニコと、でもちょっぴりきまり悪そうに、帰ってきた。そして、「さっきのカレー、食べる」と言う。「ママのカレーほどは、美味しくないけどね!」などとお世辞まで言って。調子のいい奴だ。ううむ、私も何事もなかったかのようにスルーすべきか、それとも話をすべきか。
 ちょっと迷ってから、話をすることにした。「さっきは、ジョーイの家に行けないと言われただけで、なんであんなに怒ったの?」「(うつ向きながら)わかんない」「誰でも、ときにははっきりした理由がなくても、むしゃくしゃすることがあるよね。ケンもそのうち思春期になれば、感情が不安定になりやすくなるだろうし、これからも、いらいらして爆発したくなるときがあるかもしれない。絶対かんしゃく起こしちゃだめとは言わないけど、でも、次のことは約束してくれる? (1)かんしゃくを起こすなら、自分の部屋に行く。(2)壁に頭を打ち付けるとか、自分を傷つけるようなことはしない。(3)大切な物を投げたり壊したりしない。これは、ケンとケンの周りの人を守るためだよ。この三つを約束してくれるなら、お母さんはケンがかんしゃくを起こしても、叱らない。ほっておく。だって、こういうときは周りから何を言われても無駄だものね。自分で落ち着くしかないから」。
 息子は「思春期」という言葉に反応したのか、「うぇ〜、ボク、そろそろ思春期なの? 変なの〜。やだな〜」とおどけてみせ、それから神妙な顔で、「わかった、約束するよ」と言った。
 このときはこれで一件落着だったのだが、本当に興味深いことが起きたのは、この一ヶ月後。私が一人で一時帰国し、2週間家を留守にしている間のことだった。次女からこういうメールが入ったのだ。
 「昨日、またケンがかんしゃくを起こしたんだけど、お母さんとの三つの約束を思い出してそれを守ったら、自然と落ち着いたんだって。ケンがママに伝えてって言ってたよ」
そうかぁ、この約束を思い出して、お母さんがいない時でも、自分で自分の感情を鎮めることができたのかぁ。ちょっと、いや、かなり嬉しい。主に感謝!
 息子の反抗期は、きっとこれから数年後が本番だろうが、そのときが来ても、神様、あなたの憐れみによってこの親子をお守りください!

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