ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

他者の才能を生かすことを喜ぶ

 エミは大学で、作曲をする学部生たちのクラブに入っていて、年に数回、作品の発表会がある。これは、最新の彼女の作品。アンデルセン童話の「赤い靴」のクライマックスの部分を、オペラ化したものらしい。英語で歌うより外国語のほうがかっこいい(?)だろうということで、歌詞はフランス語で、お友達が書いてくれたのですって。演奏も歌も、みな友達。

 そしてこちらは、去年、大学の音楽学科の先輩が、卒業プロジェクトとして制作したオリジナルオペラ「Nero Artifex」のプロモビデオ。ネロというのは、キリスト教迫害で有名なローマ帝国の暴君ネロのこと。このプロジェクトには、音楽学科、演劇学科、古典学科の学生たちが参加していて、原作、作曲、脚本、音楽、衣装、舞台など、演出以外は、みな学生の手によるもの。エミは、このプロジェクトの宣伝部長。宣伝部長として彼女がプロモビデオやポスターを制作したらしい。(ビデオの最後にちょこっと入っている、NGのクリップに笑った。)

 この両方を見て、しみじみ、エミは才能あふれる友人たちに囲まれ、そういう人たちと一緒に働けて、幸せ者だなぁと思った。彼女は、大学に入学して最初の1年間は、自分の周りに頭が良くて才能あふれる人が大勢いることに動揺し、自信を失い、メンタルにもかなりしんどいところを通った。高校時代と違い、大学というより大きな世界に出てみたら、自分のちっぽけさ、平凡さを思い知らされ、さぞかし焦ったことだったろう。
 でも、彼女は立ち直った。きっと、周囲の友人たちや指導者たちが、いろんな意味で本当に良い人たちだったのだろうな。辛いところを通ったけれど、そのおかげで、多分彼女の物事の見方も変わり、より強く、より健全な自己意識を持てるようになったのかもしれない。自分の弱点を嘆くのでなく、自分が持っていないものを持っている人たちとコラボレートし、他の人たちの才能を喜び、それを引き出し、生かし、それを通して自分が持っている才能をも生かす… そういうことを学んだように思う。
 さっきスカイプでエミと話したのだけれど、今は心理学科の友達の卒業プロジェクトの手伝いをしているらしい。忙しいけれど、とても充実している様子。自分の特技や才能を、他者の才能が輝くために用いるのは、自分が輝くために何かをするより、ずっと楽しくて幸せなことなんだろうな。^^

(余談ですが、原作・作曲担当の、このプロジェクトの代表の学生は、名前も顔も、見るからにギリシャ人!と言う感じ。ギリシャ彫刻の顔そのまんま!と思ってしまいました。そして、脚本担当の学生は、私の主治医の韓国人の先生にそっくりでした。関わっている子たちがすごくインターナショナルで、そこにも感動。)

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