ケンスケ、違うんだよ
ケンスケはティッシュなどを使う時、いつも大量に取って使う。ほんのちょっとテーブルにこぼれた水を拭くだけでも、何枚もティッシュをとって、さっと拭いて、さっと捨てる。いや、こぼれた水を拭いてくれるのはありがたいのだが。ケンの使い方を見ているともったいなくてしょうがない。それで今日、私はついにケンに言った。
「そんなにたくさん一遍に使ったら、ティッシュがもったいないでしょ。一枚ずつでいいのよ。ティッシュだって安くないんだから。」
それを聞くとケンは、五枚くらい取ったティッシュを手の中に握りしめながら、しばらく何かを考えていた。
その後、ケンは壊れた貯金箱(ふたがしまらないやつ 中身はもちろんカラ)を持ってきて、得意そうな顔でこう言った。「ママ、明日ものを売って、そのお金をこの中に入れようね!」そしておもちゃ箱を物色し始めた。「赤ちゃんのおもちゃはボク、もういらないから、他の赤ちゃんに売ればいいよね」
そこへエミがやって来て、ケンに何をしているのか聞くと、彼はこう答えた。「売る物探してるの。Because Mom needs money.」 私が思わずエミを振り返ると、エミも変な顔をした。ケンスケはかまわず続けた。「それからね、ママ、明日、銀行に行けばいいよ。」
…違うんだよ、ケンスケ。違うんだよぉおおお。お母さんが言いたかったのは、そういうことじゃなかったんだよ!もっとモノを大切にしようね、節約して使おうね、そう言いたかっただけなのよぉおおお!
脱力しながらその事をケンに伝えたんだけど、はたして彼は、理解してくれただろうか…