ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

ラブ・メーター

 この温度計のようなものは、ケンが描いた「ラブ・メーター(Love-o-meter)」の絵。

 一番右がケンからママへの愛を示し、真ん中はケンからパパへ、一番左は不明。(笑)
 塗っている色がわずかに違うのに気づかれるかもしれないが、最初に彼がこの絵を描いた時、ママへのラブ・メーターは一番上に達し、横にハートの絵が描いてあったが、パパへのメーターはそれより少し下だった。ケンはこの絵をこっそり私に見せて説明し、最後にこう言った。「パパには内緒だよ」

 実はケンは、たびたびこのように私に対して愛情表現をしてくれる。ママもパパもどちらも大好きだけど、でもママの方がもっと好き、パパには内緒だよ、と。パパには内緒と言っても、もちろんバレバレだし、自分からもパパに言ったりしているが。このあたりの自分の感情に関しては、ケンなりに葛藤があるようだ。発達心理学の教科書に出てくる「エディプス期」そのもの。

 エディプス期にある男の子(4〜6歳)は、母親に強い愛情と執着を感じ、父親にはライバル意識を持つようになる。それは正常なことで、この段階で「しかし僕はお父さんにはかなわない」と悟るに至り(「去勢不安」)、かなわないお父さんと争う代わりに、お父さんのような男性になりたいと思うようになる(「親との同一化」)。それが健全な性役割の獲得につながる。そしてお父さんのようになりたいという思いが原動力となって、社会性を身につけたり知的活動にエネルギーを注ぐようになる(「潜伏期」6〜12歳)。
 ある時、ケンがいつものように私に「ママもパパもどっちも大好きだけど、ママの方がもっと好き。パパには内緒だよ。ママはパパと僕と、どっちの方がもっと好き?」と聞いてきた。ケンの方が好きよ、と言ってあげたいのはヤマヤマだったけれど、そういう答えをすると彼の精神発達を歪めることにもなりかねない。それで私は「ママも、ケンもパパもどっちも大好きだけど、ケンはママの息子で、パパはママの夫だからねぇ、比べられないのよ」と答えた。すると彼は、天井を仰ぎ、こう答えた。「I know, I konw! I know all those things! (分かってるよ! 僕はそういうことはちゃんと分かってるんだ!)」 自分は「息子」である以上、「夫」であるパパにはかなわないと知りつつも、それでも「ケンの方が好きよ」と言って欲しかったのかな…

 次の日。ケンがまた一枚の絵を描いて私のところに持って来た。それがこれ。

 ママとパパは愛し合っているということを示す絵らしい。そして彼はこれを、私たちの寝室のドアに貼り付けた。彼なりに、この部屋はパパとママの聖域だから、僕はむやみに侵してはいけないのだと思うようになったのかもしれない。可愛くていじらしい。
 そして前述のラブ・メーターの絵だけれど、最初はパパへの愛は一番上まで達していなかったのに、後から考え直したらしく、パパのメーターも一番上まで達してハートマークを獲得した。最近のケンは、「僕が大きくなってお父さんになったら」とか「ハズバンドになったら」というような話もするようになった。父親との同一化が着々と進み、エディプス期から潜伏期に移行しつつあるのだろうか。

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