ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

ワイ君のこと

 ワイ君は、大学院留学中にアメリカで救われた。彼とは2004年の秋にシカゴで出会い、JCFNシカゴにも引っ張り込み(?)、以来ずっと一緒に活動してきた。ワイ君は大学院卒業後は神学校に進学した。まだ在学中だが、この8月から約一年間、イリノイ州のとある大学で、インターバーシティークリスチャンフェローシップ(IVCF)というキャンパスミニストリーの留学生部門で、インターンとして奉仕することになった。
 IVCFでインターンとして奉仕するためには、まず、サポートレイズ(support raise)というものをしなければならない。サポートレイズとは、奉仕の期間中その働きにフルタイムでかかわれるよう、その間の生活費を献金によってまかなうべく、経済的に支援してくれる人たちを集めること。彼の場合は、来年五月までの奉仕で、この8月6日までに25000ドル(約290万円)をレイズする必要があった(実際の献金プラス、献金しますという約束も含めて)。ワイ君がインターンをすることを正式に決めたのは確か5月で、6月上旬までは神学校の期末試験があったため、サポートレイズのために彼が具体的に動き始めることができたのは、6月も中旬になってからだったと記憶している。
 6月上旬頃、彼と電話で話していて、8月6日までに25000ドルをレイズしないとならないと聞いた時、正直なところ、「これは大変だ!」と私は思った。ワイ君には、「できるよ!」と励ましの声をかけたものの、内心、私だったらできないなと思っていた。献金してくださいと頼んで回るって、とてもエネルギーと勇気のいることだと思うし、特に日本人にはとても苦手なことなんじゃないだろうか。しかしワイ君は、IVCFのインターンとして彼を呼んでくださったのが神様であるなら、そのための経済的ニーズも必ずや神様が満たしてくださると信じた。私も、自分自身の人間的な弱気はさておき、神様はきっとそれをしてくださるとワイ君と一緒に信じて彼を励まし、祈りを通して共にこの道のりを歩かせてもらった。
 彼はたくさん祈った。そして、サポートを求めるべく、いくつもの教会を訪問し、大勢の人を訪ねた。こういうことが、それほど苦にならない人もいるだろうが、ワイ君にとってはこれはかなりの信仰と勇気と忍耐を要することだったと思う。「なんだか、友達を失っていくような気がする…」と泣きそうな声で電話がかかってきたこともあった。「サポートのお願いをするために友達と会う約束を取り付けようと思っても、最近は誰も電話にさえ出てくれなくて…」と。多分、もう止めたい、きっと無理だ、と投げ出したくなった時もあっただろうと思う。だけど彼は、諦めなかった。
 ある時は、本当に泣きながら電話をしてきたこともあった。でもそれは感謝の涙で、サポートのお願いをした友人が、月々まとまった額を献金すると喜んで応じてくれたのだそうだった。彼は、献金の約束を取り付けたことももちろん嬉しかったけれど、それ以上に、その友人が示してくれた友情と愛が嬉しかったと言っていた。ワイ君は、自分もこの友人のように豊かに捧げる者になりたい、と言った。良かったね、良かったね、と二人で泣きながら主に感謝を捧げた。
 その後私は日本に行ってしまったが、ワイ君からは祈りのリクエストとサポートの集まり具合を報告するメールが定期的に届いていた。最初のうちは、本当に8月6日までに25000ドルもレイズできるのだろうか、と疑いが湧くこともあった。しかし、ワイ君は忠実に努力を続け、神様もそんなワイ君に対して、ご自身の忠実さを示してくださった。7月27日の時点で、目標額達成率が95%、そして8月3日の時点では、なんと104%になったのだ! この知らせのメールを読んだ時、私は泣きながら喜び、主をほめたたえた。
 この一ヶ月あまりの彼の冒険(?)を通して、私自身も多くを教えられた。何より、ワイ君のへりくだった姿勢が印象的だった。サポートのお願いのために人に会う時でも、ただ自分の目的を達成させようとするのでなく、相手のニーズにも自分の心を開き、主がさせてくださる形でその人たちにミニスターしていきたいという祈りをもって、彼はいつも出かけていた。実際、彼のニーズのために私と祈る時でも、ワイ君は私のニーズにもいつも心を配って祈ってくれたものだった。
 私は、そんなワイ君を神様が喜んでおられるのを間近に見せていただけて、本当に特権だったなぁと思う。このブログでも、「日々の労苦」や「自分のうちに力強く働くキリストの力によって、労苦しながら奮闘」することについて書いたことがあったけれど、ワイ君はそれをまさに忠実に行っていたと思う。そしてそれに対して、主は違うことなく豊かに報いて下さるお方であることを、私はもう一度見せていただいた。ワイ君にも、神様にも、心から感謝だ。
 今ワイ君は、彼の宣教地である大学のキャンパスに引越し、そこでフルタイムで働いている。昨日も電話がかかってきて、新学期が始まったばかりの今は、農家で言えば種蒔きの時期だからとても忙しい、と言っていた。土曜日にもたれた留学生のためのイベントには、予想を上回る80数名の学生が集まったそうだ。彼にとってはまだ慣れない働きで、いろいろストレスや迷いを感じることもあるようだが、それらを通しても神様はますます彼を練り、整え、神様との関係を親密なものにしていってくださるのだと思う。ワイ君の働きを通して、また彼の人生の中で、神様がこれからも何をなさってくださるのか、とても楽しみだ。

(ちなみに、「ワイ君」というのは仮名です。ブログに書いてもいい?と聞いたら、いいけど本名は出さないでね、とのことだったので… ^^)

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