ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

When all is stripped away

 数週間前に、火事で家が焼け、家財道具などほとんど全ての持ち物を失った友人のMファミリーのことを考えていた。
 火が出たのは夕方で、その時、ご主人は夜勤に備えて仮眠を取っている最中だった。奥さんのレーナ(仮名)は、用事で子供たちを長女の家に連れて行き、約30分後に家に戻って来てみると、家の中が煙っていて、地下を見たらそこでソファが燃えていたらしい。彼女はすぐに寝ていたご主人を起こし、飛び起きた彼は消防署に電話をするよりまず、毛布を使って自分で消火しようとした。しかし火の回りは早く、結局彼らの手には負えなかった。彼は寝ていた時のトランクス一枚の姿でキッチンの裏戸から外に出て(外は氷点下)、奥さんは玄関から逃げた。家の前と後ろの両方のドアが開いてしまったことが空気の流れを作り、一層火を煽る事になったのだろうと、後に消防署の人に言われたそうだ。(その次の週の新聞に、別の火事の記事が出ていた。その家では、夕方奥さんがお風呂に入っている最中に火が出て、煙に気づいてお風呂から飛び出し自分で消火しようとしたけれどやはり手に負えなくなり、ベビーベッドに寝たままの生後4ヶ月の赤ちゃんを助けに行く間もなく、裸のままで外に逃げ出さざるを得なくなった。赤ちゃんは亡くなった。つくづく、火が出た時は自分で何とかしようなんて考えずに、とにかく消防署に連絡して、家族全員を避難させるのが先決なんだなぁと思った。)レーナが留守にしたのが30分だけだったから良かったようなものの、もし彼女が外出ついでに買い物でもして帰りが遅くなっていたら、寝ていたご主人はそのまま煙にのまれていたかもしれない。家族が全員無事だったことに主の守りを感じる。また、火事の前からこのご家族が通っているさまざまな試練や祝福を考えても(ここには書ききれないのだけれど)、彼らの上に置かれている主の御手を感じる。
 レーナに、「みんな、どうしてる?」と訊くと、「何とかやってる。失ったのは、所詮『物』にしか過ぎなくて、物がなくなっても、案外大丈夫なものなのね。ただ、時々、本当にあれもこれも全部なくなってしまったんだって、ふと心にのしかかってくることがあって、そんな時、何とも言えない気持ちになるの」
 Mファミリーは今、結婚している長女のところに家族五人が居候状態で、小さなアパートに総勢9人がひしめき合いながら暮らしている。大変だろうと思う。
 物質ではないけれど、私もこの秋から冬にかけて、自分がこれまで大切にしていたいくつかのものを次々と手放した。なくなってしまえば確かに案外大丈夫であったりはするけれど、それでも手放したことの現実が時折心にのしかかってくる。その時の感覚というのは、本当に何とも言えない。立場は違うけれど、彼女の言葉と思いにとても共感できた。失うことは辛い。辛いものだ。地団駄踏んで、手放したものを取り返したいような思いに襲われることすらある。しかし同時に、ある種の清しさもある。いたたまれないような苦しさを感じつつも、静かな平安がある。心の中で納得して、主の御手を信頼して、うなずいている自分がいる。
 マット・レドマンのThe Heart of Worship という歌の歌詞が頭をぐるぐる回っている。

When the music fades
And all is stripped away
And I simply come...

 All is stripped away... 全てがはぎ取られる。全てを失う。自分が大切にしていたものも、自分が拠り所にしていたものも、自分が積み上げてきたものも、何もかもなくなる。手の中が空っぽになる。頭も思いも空っぽになる。そして、ただ主の前に出る。ただ、出る。そして気がつく。最初から、主が私の中にご覧になっていたものは、これだったのだと。これだけだったのだと。

I'll bring you more than a song for a song in itself
Is not what you have required.
You search much deeper within
Through the way things appear
You're looking into my heart...

More than a song,
More than what I do,
More than what I say,
Lord, it's just my being, my being I bring
I am empty
I am nothing
Yet Lord, You delight in me when I am the emptiest
Because this is when I am all Yours
Because this is when I know You are more than enough for me
I am empty, but overflowing
With Your grace
With Your love
With Your Riches
And I worship You
King of Glory
Love Everlasting

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