ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

売春婦のために誕生日パーティーを開く教会

 昨日、礼拝の時にパスターが話してくれた、トニー・カンポロというクリスチャンの社会学者が体験した実話。

               ***

 ある時、トニーは会議に出席するためにホノルルに行った。ホテルにチェックインして休もうとしたものの、時差のせいで目がパッチリ開いてどうにも寝付けない。そこで彼は起き出して、深夜遅くまで開いている場末のコーヒーショップを見つけ,そこに入った。午前3時半、あまりきれいではない店のカウンターでコーヒーを飲みながらドーナツを食べていると、騒々しい派手な服装の女性の集団がドヤドヤと入って来た。彼女たちの会話の内容から、どうやら今夜の仕事を終えた売春婦たちらしいことがわかった。
 彼女たちは、カウンターのトニーの隣に陣取った。彼はなるべく早く席を立ってそこを出ようと思ったが、その時、彼の隣に座っていた女性が突然こう言った。
 「明日はあたしの誕生日なの。39歳になるのよ。」
 「へぇ、だから? なんかして欲しいって言うの? ケーキでも買って、パーティー開いて、『ハッピーバースデー』って歌ってほしいの?」
 「そんな意地悪な言い方しないでよ。あんたたちに何かしてもらおうとは思ってないわよ。ただ明日はあたしの誕生日だって、それだけ。生まれてこのかた、一度だって誕生日を祝ってもらったことなんかないんだから、今さら誰かに祝ってもらいたいとは思わないわよ。思うわけないじゃない。」
 
 会話の中身から、その女性の名はアグネスだということがわかった。トニーはある事を思いつき、その場を去るのを止め、彼女たちが帰って行くまでそこに残った。彼女たちがいなくなった後で、トニーは店のマスターに尋ねた。

 「彼女たちは、毎晩ここに来るのですか?」
 「そうですよ。だいたいいつも、同じ時間に来ますね。」
 「あの女性、アグネス、彼女も毎晩来ますか?」
 「ええ、アグネスも毎晩来ますよ。」
 「明日は彼女の誕生日だと言ってましたよね。もしマスターさえ良ければ、明日、ここで、アグネスの誕生日パーティーを開きたいと思うのですが、どうでしょう?」
 「それは良い考えだ! 是非やりましょう。僕がケーキも用意して、アグネスの仲間たちにもこっそりパーティーのことを知らせておきますよ。」

 翌日、午前2時半になると、トニーは部屋の飾り付けや「ハッピーバースデー、アグネス」と書かれた垂れ幕などを山ほど抱えて再びそのカフェに顔を出した。ホノルル中の売春婦が全員集まったかというくらいの大勢でその場は賑わっていた。そしてみんなで飾り付けをし、アグネスが現れるのを待った。
 午前3時半。いつものようにアグネスがやって来た。「ハッピーバースデー!」 アグネスは目を大きく見開き、口をあんぐりと開け、ひざをがくがくさせ、危うくひっくり返るところだった。回りにいた友だちが彼女を支え、テーブルのケーキのところまでエスコートして行った。
 皆は誕生日の歌を歌い、震えるアグネスはやっとの思いでロウソクの火を吹き消した。「さあ、ケーキを切ってごらんよ」しかしアグネスはケーキを愛しそうに見つめながら言った。「切らないとだめ? どうしても、切らないとだめ?」「いや… 君が切りたくないのなら、無理しなくてもいいけど。君の誕生日なんだから。」するとアグネスは言った。「私、ここのすぐ近くに住んでいるんだけど、このケーキ、家に持って帰ってもいい?」マスターがもちろん構わないと言うと、彼女は宝箱を抱えるかのように大切そうにケーキをそっと持ち上げ、店を出て行った。
 アグネスが出ていったあと、トニーは思わず言った。「アグネスのために祈ろう。」そして午前3時半の深夜喫茶で、ホノルル中の売春婦とトニーは、アグネスのために祈った。彼女の人生のため、健康のため、そして救いのために。
 祈り終わると、マスターはやや不快そうな口調でトニーに言った。「牧師さんだったとは知らなかった」「いや、違いますよ。私は社会学者です」「でも、どんな教会に行ってるんですか?」「そうですね… 午前3時半に売春婦に誕生日パーティーを開くような教会… かな。」
 マスターは一瞬の沈黙の後、こう言った。「それは嘘だ。そんな教会が世の中にあるはずがない。もしあるなら、僕はとっくにそこに通っているよ。

               ***

 この話をしたあと、パスターは言った。「私たちのこの教会は、まさにそういう教会でありたいと願います。」

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