ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

私信

中間試験の採点や講義の準備の合間を縫って、やっと春休み中からたまっていた学生や同僚からのメールに目を通し始めました。

3月13日付のIさんの質問メールにさっき返事を書いたのですが、住所不定で返ってきてしまいました。日記で失礼いたしますが、もしここをご覧でしたら、以下をもって返答とさせていただきます。

変数の無次元化によって演算子の正規性が変わってしまう、というご指摘ですが、変数を無次元化(スケーリング)することで物理が変わってしまうことはないはずなので、おそらく、風速と温度にそれぞれ独立の次元量を用いているのがまずいのだと思います。演算子の正規性はノルムに何を使うかによって変わり、ここでのノルムはエネルギー (1/2)(u^2+v^2+a T^2) です。ここでaは運動エネルギーと有効位置エネルギーの比に関する定数で、重力加速度や温度減率などの物理量によって決まります。速度u, vと温度Tを別々で任意の定数(たとえば秒速10メートルと5度など)を使って無次元化すると、無次元化された状態ベクトル空間でエネルギー比が変わってしまうことになり(つまり無次元化により状態ベクトルの大きさだけでなく、向きが変わってしまう)、これはとりもなおさずノルムが変わってしまうことを意味しますから、演算子の正規性に影響が出るのも無理はありません。有次元での状態ベクトルを(1/sqrt(2))(u,v,sqrt(a)T) とし、速度u, vを秒速10メートルで無次元化するなら、温度Tは (10m/s)/sqrt(a)で無次元化すべきです。セミナーのご成功をお祈りしています。

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