ミルトスの木かげで

旧はちことぼぼるの日記

God Bless you!!

まことのいのちを得るために…
……so that they may TAKE HOLD OF THE LIFE THAT IS TRULY LIFE.
(第一テモテ6章18節 写真はミルトスの花)

充実した一日

 昨日も一日フル回転で、午前中から子供たちをポケモン映画に連れて行き、その後彼らを一旦家に帰してから私だけ外出。新宿で浩子さんと落ち合い、1時間半あまり、とても良い交わりを持つことができ感謝だった。浩子さん、ありがとう!

 そしてその後は六本木に出て、父を囲むシンポジウムとやらに出席。今回はちゃんとした服も持ってきてないし、六本木まで出るのは面倒だからパスしようと思っていたところ、はちこ母に行かないとお父さんががっかりするよと言われ、前々日になって出席を決意。前日に慌てて簡単なスーツを購入。(日本はいい!私に合うサイズがすぐに見つかる!)
 一言で言えば、行ってきて良かった。本当に良かった。まずは父の講演があり、生い立ちから始まって、どのように彼の思想やアカデミックな興味が育てられ、変遷していったかが語られ(一種の自分史のような感じ)、それから70歳を過ぎた今、どんな研究テーマを持っているかが熱く語られた。引退記念講演のようなものかと思っていたら、必ずしもそうではなかった。学者とは言え、大学や研究所にいると、いろいろ面倒な雑事はついてまわる。それにおわれてろくに専門の研究ができないという人たちも少なくない。今回、父はそういった面倒な雑事や責任からは引退し、父いわく「もう一度学生に戻って」第3の研究生活に入っていくつもりだとのことだった。

 中でも興味深かったのは、学者としての道を歩み始めて比較的初期の頃、ある理論にすっかりはまり、夢中になって勉強し、その理論のことがものすごくよく理解でき、行間まで読めるような気になっていたところ、ある日突然、その理論がさっぱり理解できなくなってしまうという行き詰まりの体験をしたという話。それまでは行間の文字になっていない部分までわかったものが、急に、文字に書かれていることまでいくら読んでもわからなくなってしまったのだそうだ。また、カナダでの客員教授時代、このまま北米に永住してもいいとさえ思ったものの、一つ困難があった。それは、同僚と競争しながら学部長と直談判をして自分を売り込み、給料値上げの交渉をすることが、日本人の彼にはどうしてもできなかったことだった。(この話を聞いたとき、ぼぼるパパと同じだ!と思って嬉しくなってしまった。ぼぼるパパにもどうしてもこれができないんだよねー。)この時、日本人としての自分を痛感し、それまでソ連研究に従事していたのを、これからは日本研究をしようと決意し、帰国したそうだ。
 講演後の質疑応答の時、今まで理解できていた理論が急にわからなくなるという壁に当たったとき、それをどのように乗り越えたのですか、という質問に、「変な言い方をすれば、私はある意味軽率で、一つのことに執着しなかったのよかったのかもしれません」みたいな答えをしていた。だめだと思ったところでさっと見切りをつけて、方向転換したのだろう。研究活動を続ける中で、何度か壁に突き当たって方向転換を余儀なくされたわけだが、結果としてそれが彼の研究における底辺を広げ、また奥を深めるのに役立ったのだと思う。現在彼がinterdisciplinary なvisionary として活躍しているのも、そのあたりに鍵があるのかもしれない。
 講演の後は懇談会。立食パーティー形式で、来賓の方々が次々にスピーチをしてくださった。私と腹違いの妹二人、そして30代前半の従弟の4人は、親族だから出席しているものの、あまり難しい話はよくわからないため、4人でかたまってせっせと食べていた。(笑)若い妹たちはともかく、40半ばの私まで一緒になって食べてばかりいたのは、ちょっと顰蹙だったかも。(汗)
 父の講演を聞きながら、実は彼は学者としては遅咲きだったことを知り、ちょっと意外で驚いた。遅咲きだったかもしれないけれど、息は長い。70過ぎた今でも、後続の中堅、若手の研究者から慕われ、彼らがインスピレーションと方向付けを求めて父のところに集まっている様子に、娘として私も誇らしかった。出席されていた方々も、学会からはもちろん、IT関連の技術界、ビジネス界、そして政界と幅広い分野の方がたがおられ、父の仕事の持つ影響力の広さを思わされた。
こんな風に書いていると、なんだか自慢しているっぽく聞こえるかもしれないが、私が育った環境を知っている人(このブログの読者にはほぼ皆無だろうけど)なら、このような機会に私が与れたこと、そしてこの特別な機会に父やその家族とこんなに幸せで楽しい時間を共に過ごせたことがいかにものすごいことであるか、わかってくれるだろう。このブログを時々読んでくれているらしい妹たちは、「私が結婚したら、はちこお姉さんのような家庭を築きたい、はちこお姉さんの家族は私のあこがれ」とまで言ってくれて、私はもう、涙ウルウルだった。これを可能にしてくださった神様に心から感謝し、主の御名をたたえる。God is good. He is so good. Thank you, Jesus!
(一番上の写真は、私の妹二人と従弟。)

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